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力を手に、心が壊れた主人公ー「暴君ユーベル迷いナく.」を読んで、評価・感想

   

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ー 己は何だ。何がために生まれ、何がために生きる?
 答えは今も、見付からないまま。

ポケモンGOも落ち着いてきたところで、久々にネット小説の紹介をしましょう。

無数にあるネット小説の内で、どれを読んだらいいかわからない、面白い小説が見つからない、といった方たちのために、この記事ではおすすめのネット小説を紹介しています。

この記事で紹介する作品は、アニメ化してもおかしくない、むしろアニメ化してほしいと僕が感じた作品のみを紹介しています。

文章力が高いことはもちろんながら、それ以上に斬新な設定やストーリー展開がある作品ばかりです。

さて、今回紹介したい作品は、「暴君ユーベル迷いナく.」です。

残酷でやさしいという矛盾をはらんだ主人公を応援せざるを得ません。

作品概要、あらまし

どうか、どうか教えてください。怪物に安寧は似合わないと言うのですか。平穏は、化け物が求めるには分不相応な幸福なのですか――

剣と魔導に魔王や勇者。そんなお約束の異世界に転生したのは、平和な日々を現代日本にて謳歌した記憶を持つ凡人だった。

夢物語の如くファンタジーな世界で、しかし彼が歩んだのは血に塗れた闘争の道。奴隷商への身売り話から始まったのは、悪意渦巻く凄惨な因果。
奪うか、奪われるか。殺すか、殺されるか。そんな過酷な現実の中で何人足りとも寄せ付けない規格外の力を生まれ持ってしまった彼だったが、相次ぐ惨劇に耐えきれず精神を歪めていき――

さあ、祝いたまえ。呪いたまえ。凡人の性と化け物の力。相反する二つの性質の狭間で、惑いナいた怪物の末路をここに謳おう。

彼へ与えられた名は邪悪。今から凡そ六年前、迷宮都市として名高いセントラルタウンへ来訪した彼を、人々は災厄のユーベルと呼び恐れ忌み嫌った。

なんと心惹かれるあらすじでしょうか。この文章を読むだけで、作者の文章力の高さが伺えると同時に、今まで読んだことのないような物語に胸が膨らみます。

さて、話の中身なのですが、まさしくあらすじの通りです。

幼少の頃の辛い境遇により最強となってしまった主人公。身に降りかかる災難をはね避けていただけにもかかわらず、いつの間にか悪者とされていた。

そして、その理不尽な強さゆえに「災厄」という冠詞も与えられる。

誰からも恐れられ、誰からも理解されない。歪んでいく心…。

と、シリアスな設定ではありますが、物語全体はそれほどシリアスではありません。

むしろ所々でクスリと笑わされるようなお話もあり、決して重たい雰囲気な小説ではありません。

シリアスとコメディが介在した、読みやすく飽きさせない絶妙なバランスとなっています。

作品の特徴、おすすめする理由

主人公の圧倒的な強さ、しかし、それが理不尽ではない点がこの作品の良い点の一つである。

異世界転移モノといえば、主人公が異世界に行くと決まって特殊能力を手に入れる。

それは、神様から貰うものもあれば、自然発生的に身に着ける場合もありますが、どれも共通しているのは棚ぼたで手に入れた力ということです。

運よく、たまたま、こんなことで力を手に入れたとしても、その後の物語に何を期待すればいいのでしょうか。

何らかの物語性もなければ、主人公が成長することもなし、強敵による緊張感もなし。

主人公が得られた力を使って暴れまわり、ただひたすらに主人公の考える正義を押し付けるのみ。

そしてご都合主義に始まった物語は、最後までご都合主義であり、読んでも心に何も残らない。

きつい言い方かもしれませんが、別にそれが悪いというわけではありません。好みの問題ですから。

ただやはり、主人公が悩み、葛藤し、苦しみ、そして成長するーそういったカタルシスを与えてくれる物語は、間違いなく心に大きな感情をもたらしてくれる。

今回紹介する作品も、まさしくそういったものの一つです。

主人公は確かに最強かもしれません。しかし、その強さには代償があります。主人公の心が壊れるーという形で。

物語内で、主人公の壊れ具合を指摘する場面があります。

ああ、しかし、その脅威を前にして魔龍が浮かべたのは嘲笑。「くっ」と喉を鳴らして、己へ死を与える人の形をした化け物を見詰める。先の言葉に続けるように、死の間際であってなお青年を嘲った。

「それも当然であろう。そのように澱みきった眼では何も見えず、しからば何も映さない瞳では何を選ぶ事も出来まい。なればその超常の力は、いったいどこを見据え、向かい、振るわれるのだろうな! ああ――――」

この指摘の通り、物語内の様々な場面で、主人公の壊れ具合が表現されています。

心の壊れた主人公が織りなす物語は読んでいると心が苦しくなりますが、それだけに主人公の成長は心を大きく震わせる。

これこそが読書が与えてくれるエンターテインメント性だと思います。

 

この作品では、様々な登場人物たちの情景描写や心理描写が物語をうまく引き立てています。

主人公は暴君と呼ばれていますが、単に文章中でそう説明されていたとしても、実感があまり持てないと思います。

しかし、この作品では、他の登場人物たちを登場させ、それらを通した情景描写、心理描写によって、実際に主人公がどのようにして恐れられており、どういった気持で暴君と呼んでいるのか、これ以上ないほど伝わってきます。

これによって、単に文中で説明するような薄っぺらい表現とは感じる印象に大きく異なるわけです。

例えば、以下の文章。

 荒々しく足音を鳴らしてギルドカウンターに近付いたユーベルに、列を作っていた大勢の探索者が気付いたようだ。
最前列より一つ前。今受付嬢が対応している探索者の番が終われば、その次に受付で会話をするはずだった探索者達が揃って回れ右をした。
いや、彼等だけではない。列全体が一斉にギルドカウンターとは見当違いの方向に体の向きを変え、ユーベルから離れていこうとしている。
今現在受付嬢と対話している者達などは、背を向けられたままでもはっきりわかるほど、挙動不審になっていた。

主人公がどれほど恐れられ、嫌われているのかがこれでもかというほどわかると思います。

これだけにかかわらず、この作品では、こういった表現技法が際立っており、それゆえに実際に見ているかのような臨場感が感じられます。

簡単に言えば、感情移入がしやすく、物語にのめり込んでしまいます。

 

他にも、かわいらしい登場人物たちや、主人公の無双感といった様々な良さがありますが、それらは実際に読んで確認してみてください。

どれをとってもクオリティが高く、こういったストーリーが嫌いな方以外ならば間違いなく楽しめるはずです。

まとめ

物語だけではなく、どんなことに関してでも何かを得るには必ず代償が必要だと思っています。

勉強もそう、スポーツもそう、何の努力もなしに成功することなんてありえません。

何かを 「何かを得るには何かを失わなければならない」ということ

そうでなければ、あまりにも努力した人が報われないではありませんか。

だからこそ、僕は「棚ぼた(棚から牡丹餅)」ストーリーが嫌いです。

 

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XZ

XZ

ゲームとWeb小説が何よりも好き。自分の趣味を共有、共感できたらと思いブログをはじめた。

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