ぼくのあしあと

ゲームやネット小説など、日々興味や関心をもったことを綴る

言葉回しが秀逸~「頼むからあの娘のべしゃりを止めてくれ!」を読んで、評価・レビュー

   

おすすめWeb小説

ー「ああ、誰でもいいんだ。頼むから、あの娘たちのべしゃりを止めてくれ!」

さて、久しぶりにおすすめWeb小説を紹介しましょう。

長らくおまたせして申し訳ありません。大学院の入学手続きなどでドタバタしていました。

今日紹介する小説は今までの紹介してきた小説と趣向が全く異なるものです。

読んでみればわかると思いますが、おそらく多くの方がこう思うはず、「言葉回しが巧い!」と。

西尾維新さんの物語シリーズを読んだことはあるでしょうか。

独特な言葉使いで紡がれる文章が特徴で、独特な魅力を持っています。

今日紹介する小説もまさにそんな感じで、おそらく西尾維新さんの文章を意識して書かれたのではないでしょうか。

作品情報

高校に入学した俺は、念願の図書委員になって平和で平坦で平凡な暮らしをゆっくりと満喫できる……はずだった。
そんな俺の前に現れたのは、無口で無愛想なクラスメイトの梔子さん。波風たたない日常をこよなく愛する俺と、なぜか俺の近くにいる梔子に降りかかってきたのは〝神様〟〝妖精〟〝詐欺師〟……!? しかも梔子に憑いている神様を退治するために、俺が梔子の……純潔を奪う、だって!?

これは、感情を失った梔子さんの心を紡いでいく俺と、おしゃべりな友人たちがラブとかコメディとかバトルとかしながらしゃべりまくる、おしゃべりラブコメ……

「ああ、誰でもいいんだ頼むから、あの娘たちのべしゃりを止めてくれ!」

あらすじを読むと、よくあるラブコメのように思えるかもしれません。

ほのぼのとした感じで、主人公が女の子たちとイチャラブする…しかし、これはそんな単純な物語ではありません。

こよなく平凡を愛する人が主人公な時点で、平坦な話が続くはずがありません。まさにフラグですね。

平和な生活を望んでいるはずなのに、次から次へと災難が降りかかってくる。

それに翻弄される主人公の様子を、独特な言い回しで面白おかしく描写しているのがこの作品です。

異世界転移ファンタジーを読みすぎて辟易としている方、

心をくすぐるようなラブコメを読みたいと思っている方、

文章力がずば抜けて高い作品をお求めの方、

そういう方はぜひ読んでみてください。

作品の魅力、特徴

独特な言葉遣い

この作品の魅力はなんといっても、文章内における独特な言い回しでしょう。

各章ごとにテーマがあり、それに沿って言い回しに言い回しを重ねている。

何を言っているのかわからないと思いますが、僕もどう伝えていいのかわかりません。

それだけ、小説の文章力が僕の語彙力を上回っているからです。

例えば、僕達が每日何気なく使っている日本語。

意思疎通できればいいやと、日本語の言葉そのものについて深く考えたことはないはずです。

しかし、この作品ではそういった言葉をピックアップし、今まで気づきもしなかった言葉の奥深さを教えてくれる。

こう言えばなんだか難しくて、とっつきにくいように思えるかもしれませんが、この作品のすごいところはそれを難しく感じさせることなく、むしろ面白おかしく楽しませてくれる。

作者の文章力の高さに驚かさます。語彙力の高さもそうですが、言葉の使い方も上手いのです。

ちょっと長いですが、以下の文章を読んでみてください。本文中からの引用です。

 ふにっ。と。

俺の手のひらに柔らかいものが触れる。弾力がある、張りのある肌だった。
思わず心臓が跳ねる。暖かいというよりぬるい、太ももの温度。
「――っ!」

ぴくり、と指先を動かしてしまう。滑らかな感触。雪のような白い肌。俺はいまそこに触れている。女の子の肌なんてふつう触れない。手のひらに吸いつくようだ。だが、スカートに阻まれてそれを目視することができない。なまじスカートのなかが見えないぶん、知性が、想像が、肉欲が、煩悩が、その体温が俺を貴賎な葛藤へと追い込む。心臓が高鳴るのを理性が抑え込もうとする。……理性には自信がある。本能にそそのかされて平和を崩すなんて考えられない。強靭な理性が俺の個性でもあると自負している。それに、ここは学校の図書室でまごうことなく公共の場だ。腰から下はカウンターのなかに隠れているとはいえ、ここでそんなことをするなんて聖なる図書室をなんだとわきまえてるんだ――――という背徳感には、しかし滅茶苦茶な威力があった。理性が根強いからこそ、はっきりと感じる特殊な状況。
俺はつい指先を動かしてしまい、白々雪の肌を撫でる。
白々雪は「んっ」と小さくうめいた。

長いですが、とても読みやすいですよね。

そして、文章中に出現する様々な言葉たち、それらが状況をよりリアルに描写してくれる。

主人公が葛藤している様子が、まるで自分が体験しているかのように錯覚してしまうほど。

この書き方のうまさがこの小説最大の魅力といえるでしょう。

物語性も高い

これだけ言葉について紹介していますが、文章が面白いだけの小説でもありません。

当然、物語も非常によく練られています。

各章ごとにテーマがあり、物語は常にそのテーマにそって展開されていきます。

プロローグで漠然としたテーマを紹介し、「おお、どうなってしまうんだろう」と読者に興味を抱かせる。

そして、エピローグで「ああ、つまりそういうことだったんだな」と締めくくられる。

この一連の流れがとても丁寧で、読んでいるとすんなりと心に入ってくるのです。

異世界転移小説にありがちな、ダラダラと現在起こっていることをひたすら書いているような、退屈さがない。

起承転結のメリハリがしっかりとしているため、途中でダレることがなく、最初から最後まで一気に読んでしまえる作品なのです。

平凡平坦とは真逆のストーリー、ぜひ楽しんでみてください。

登場人物の魅力

文章力が高いということは当然、人物描写も非常に上手いわけです。

ラブコメにおいて、ヒロインの人物描写はかかせません。

可愛いと思えないヒロインのラブコメなんて誰も読まないでしょう?

その点、この作品では心配無用。

外見から話し方、性格、変な癖、その他…そのどれもが大きく異なるがゆえに、キャラ立ちがしっかりしている。

簡単にいえば、癖の強いキャラが勢揃い、というわけです。

それ故に癖の強い物語伴っています。

まとめ

小説を読もうで数少ないラブコメ作品。

その中でもかなり上位の作品であることは間違いありません。

ラブコメなんて興味ない…という方もいるかもしれません。

しかし、異世界転移小説をたくさん読んでいると、同じような展開が多すぎて飽きてきますよね。

そういった時に読むのも、気分転換できていいのではないでしょうか。

 

「頼むからあの娘のべしゃりを止めてくれ!」 小説を読もう

The following two tabs change content below.
XZ

XZ

ゲームとWeb小説が何よりも好き。自分の趣味を共有、共感できたらと思いブログをはじめた。

 - おすすめWeb小説