ぼくのあしあと

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翻弄され、翻弄する「ペテン師は異世界で静かに暮らしたい」を読んで、評価・感想

   

おすすめWeb小説

ー「読まれていた。リスクをとらず、徹底的に全てを行おうとする自分の傾向を。読んで、そこに罠を張っていたのか。」

 

皆さんお久しぶりです。現在卒業論文の真っ最中で、なんとか時間をひねり出して更新している次第です。

といっても、実はひねり出した時間の大半は新しいWeb小説を読むのに忙しかったりします。

さて、ひっきりなしにたくさんの小説を読んでいると、多少の作品では動じなくなってしまいます。

普通の作品と比べても面白いはずなのに、慣れてしまっているため感動が小さくなってしまう。

読めば読むほど面白い小説に出会えなくなってしまうというわけです。

しかし、本日紹介するWeb小説はそんな凍てついた僕の心を砕くほどインパクトを与えてくれる作品でした。

探せばまだまだおもしろい小説に出会えるという希望を与えてくれました。

ご紹介しましょう!「ペテン師は異世界で静かに暮らしたい」。

作品のあらまし

いかがわしいコンサルタント会社に勤めていた灰崎正義はある日、奇妙な女神によって異世界に召喚される。剣と魔法、モンスターの世界に召喚された灰崎正義は女神の話を無視して、ただひたすらに平穏な生活を追い求める。だが、それとは裏腹に、次々と災難に巻き込まれ、事態は混乱していく。唯一の武器は嘘やはったりを含めた交渉術。オーソドックスな異世界召喚モノ。

あらすじだけを見ると、よくあるような異世界転移モノの作品だと思われるかもしれません。

唯一の武器が嘘やハッタリということでちょっと変わっているかもしれませんが、取り立ててそれ以上のことでもありません。

さらに、オーソドックスな異世界召喚モノと自分でも言っているので、ますます特別感は感じられません。

だがしかし!

この時点であなたはすでに騙されている。

よくあるような異世界転移モノ?そんなわけあるわけ無い。

今まで見たこともないような内容で、かつ今まで見たこともないほど空回りさせてくれる。

嘘やハッタリの交渉術がこんなにも力を持つものだったなんて、読む前は思いもしませんでした。

身一つで異世界に飛ばされ、それも強盗団の近くに。

普通の人ならばそれで殺されて終わりでしょう。しかし、主人公は違った。嘘やハッタリを巧みに用いて生き延びる。

主人公がチート能力をもって暴れまわる作品に辟易とした方、いつも同じ展開を迎える異世界転移モノに飽きてきた方、ぜひこの作品を読んで新しい世界を覗いてみてください。

作品の魅力

この作品が今まで見たこともないような作品へと変えているのは、まさしく「頭脳」だけで戦っている点です。

異世界転移モノといえば、主人公が異世界へと赴き、そこで何らかの力を振り回す。

神様からチート能力を手に入れることもあれば、自力で力を手に入れることもある。

どちらにせよ、彼らは力を持ってして敵を倒していく。雑な言い方をすると、問題を全て暴力で解決しているのです。

しかし、この作品は違う。主人公は神様からチート能力が与えられることは一切なかった。

嘘やハッタリだけで戦うのです。

嘘やハッタリを用いるということは、それだけで読者を納得させなければなりません。

読んでいて、「こんなので騙されるわけ無いだろう」や「どうしてこんなふうになるのだ」と言った疑問を感じさせてはいけません。

逆に、「こんな方法なら間違いなく騙される」「なんてすごい方法なんだ」と思わせる必要があるのです。

その点、この作品はそれをバッチリと満たしている。この小説を読みながら何度唸らせられたことか。

ネタバレになるのでどんな方法が用いられているかは言えませんが、コナンもびっくりのトリッキーさで敵を翻弄していきます。

 

もう一つ、この作品の魅力といえば、先の読めない展開による緊張感でしょう。

上でも説明したように、驚くような方法を用いて敵を騙していくため、展開が全く読めません。

いや、自分が予想していた展開とはことごとく異なるのです。

「え?まさかそうなるの!?」と何度も驚かされるのです。

そして、それに合わせてこの作品には常に緊張感がつきまとう。

もし、嘘やハッタリが通じなかった時点で主人公は死んでしまう。この物語は常にそのような状況となっているのです。

今の困難を乗り越えたとおもいきや、新しい困難によって死にそうになってしまう。

その死を回避しようとして、主人公はまた嘘やハッタリを用いていく。

このスパイラルによって物語にのめり込んでしまう。続きが気になってしまう。うまい書き方です。

 

最後に、登場人物たちについて一言書きましょう。

この小説の登場人物はどれも突き抜けています。それはもう、色んな意味で突き抜けているのです。

つまり、我々が普段目にするような普通の人はほとんどいません。

誰も彼もが何かしらを抱えています。

しかし、それによって彼らは普通の人では醸し出せない魅力を持ち備えているのです。

彼らならば、間違いなく何かをやらかしてくれる。そしてそれがこの物語をもっと面白くするに違いない!

と、そう思わせてくれる登場人物ばかり。

そして、そんな中でも僕が好きになったキャラクターを一人紹介しましょう。

主人公の父親で、主人公の指針となる言葉をいくつも投げかける役なのですが、いつも予想もつかないことを話します。

次の文章は、「平穏になるためには鈍感さが必要」という話の一部分を抜き出してきたものです。

「その100円を募金したら、地球の裏側で子どもが一人、救えたかもしれないぞ」

その一言で、マサヨシはそれ以上喋れなくなる。

「それが鈍感さだ。強さだ。いいか、正義、地球の裏側で子ども達が困窮していることを、情報として誰もが知っている。100円の募金で一人救えるかもしれないことも知っている。知っているが、それを感じない。実感がないんだ。だから、大して必要でもないものに100円を使う。地球の裏側のことだから、鈍感になれる」

喉が渇いたのか、そこで父は一口水を飲んで、

「平穏に、幸せに生きるためには、鈍感さが必要になる。だから幸せで平穏な国には、国民を鈍感するシステムが必ずある。それはそうだ。全国民が全労力、全財産を人のために使う慈善家になってもらっても困るからな。だから、平穏に生きている連中は、時折そのことに気付くと狼狽する。自分の取るに足りない平穏が、幸せが他人の絶望や悲惨の上に成り立っていると気付いて、その他人の絶望や悲惨を感じたら、もう駄目だ。また、鈍るまでのしばらくの間、平穏は遠のく」

なるほど、確かに真理だ。

まとめ

同じような展開のWeb小説をいくつも読んでいると、Web小説そのものに絶望を感じてしまいそうになります。

もう、どれもこれも読んだことのあるような展開の小説しかないのだろうか、と。

しかし、時たまこういった思いがけない作品を読むと希望を抱きます。

まだまだ、Web小説の世界は広い!ということを思い知るからです。

 

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XZ

XZ

ゲームとWeb小説が何よりも好き。自分の趣味を共有、共感できたらと思いブログをはじめた。

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