数学の苦手意識を克服~算数が簡単で数学を難しく感じるワケ
小学生の時に習った算数に苦手意識を持っている方はあまりいないでしょう。
一方中学以上で習う数学に苦手意識を持っている方は結構多いと思います。
では、算数と数学で一体何が違うから難しく感じるようになってしまったのでしょう。
問題自体が難しいからと思っている方が多いでしょうが、どのように難しくなったのかを理解している人は少ないはず。
今回は、算数と数学の違いについて考え、その後に数学の苦手意識を克服する方法を紹介します。
算数とは
まあ、今更説明するまでもないでしょうが、算数とは一体どういった学問なのかをおさらいしておきましょう。
ある問題について考えるときは、定義に立ち戻って考えるとわかりやすくなることが多いからです。
一口に算数といっても、国によって教えるものが異なりますし、厳密にこうだということは定められていません。
しかし、僕の観点から言わせてもらえば算数とは、
だと言えるはずです。
身近な数についてのやりとりとは、僕たちが普段目にしているモノや事柄について計算を行うことです。
例えば、買い物をするときには四則演算によって求めます。
水槽の中にどれほどの水があるかは体積によって求めます。
以上のように、目につくモノや事柄について計算を行っているのが算数というわけです。

算数は直感的に理解できる計算ばかり
数学とは
一方で数学が何をしているかといいますと、
だと言えるはずです。
なんだか難しい言葉を用いているように聞こえるかもしれませんが、具体例で考えてみましょう。
例えば、先ほどの例えで買い物について四則演算で値段を求めるとありましたよね。
算数だとそれぞれの商品の値段が与えられます。りんごが50円、みかんが30円といったように。
合計値段は与えられた値段をすべて足し合わせることで求められますよね。50+30=80円で、直感的にもすぐに理解できるはずです。
一方数学では、商品の値段は文字で与えられます。a円の商品とb円の商品といったように。
それを全部足し合わせても「a+b」といったような文字の羅列が得られるだけで、直感的な値段ではありませんね。
結局a+b円っていくらなんだよ、と心の中でもやもやしている人も多いはず。

文字で表わされると実感しにくい
文字を使うことで何をしているかといいますと、問題の抽象化を行っているのです。
つまり、算数では特定の商品だけに着目していたのが、数学となると任意(いずれでもいい)の商品へと着目するようになるのです。
身近な数から離れて、もっと大きな視点で考えるようになるのが数学というわけです。
今は買い物の合計値段という直感的にわかりやすい例えを用いて説明しましたが、他の例についても同じことが言えます。
数学は算数の問題を抽象化しているのです。

数学は算数の抽象化
抽象化するとは
抽象化するということについて具体例を用いながらもう少し詳しく説明してみます。
例えば数学で扱うものの中で最もポピュラーなものといえば関数でしょう。
関数と聞くだけで「うっ、頭が・・・」となる人も多いと思いますが、これも抽象化しているからこそわかりにくいのです。
関数を身近な例で例えてみましょう。
ここにある機械がおいてあります。その機械にお金を入れると倍となってお金が出てきます。
現実ではそんな機械絶対にありませんが、まあ仮にあるとしましょう。
すると、実はその機械がまさしく関数と同じ働きをしているわけです。

関数を具体例で考えてみる
どういった仕組みかはよくわからないけれども、とにかく入れたお金が倍となって出てくる。
入れるお金はなんでもよく、それによって出てくるお金が決まる。
つまり、ある入力に対して結果がただひとつに定まっています。これはまさしく関数です。
上の機械を関数の式で表すと、中学数学ではy=2x、高校数学ではf(x)=2xで表されますね。
xが入れる金額で、yがでてくるお金の金額となります。
このように、関数というと難しく聞こえるかもしれませんが、身近な例で例えるととても実感しやすいものだとわかります。

抽象化は物事の本質をピンポイントで表す
抽象化するとは、身近な出来事を普遍的に表していることにほかなりません。
抽象化することで実感しにくくなりますが、物事の本質をピンポイントで表現できます。
「ある機械は入れたお金を2倍にする」と表現するよりも、「y = 2x 」と表現したほうがよりスマートですし、応用が効くのです。
数学が算数よりも難しく感じる理由
数学と算数の違いがわかったところで、やっと本題に入りましょう。
小学生の頃は算数が得意だった人でも、中学校の数学だと苦手だなという人は多いでしょう。僕もそうでした。
上で述べたとおり、算数と数学の違いは抽象化にあります。それが難しく感じる理由でもあります。
そもそも物事を抽象化して考えるということはとてもわかりくいことなのです。
りんごとみかんを買うと言われるとわかりやすくても、aとbを買うと言われてもピンと来ません。
目に見えているものについて考えるのは簡単でも、目に見えず実感が持てないものについて考えるのは大変というわけです。

抽象化はわかりにくい
算数が数学よりも難しく感じるのは、物事の実感なしに数のやり取りを行っているからにほかなりません。
なんだかよくわからないけれども、与えられた公式どおりに文字や数字を代入しているだけ。
そういうことをいくら積み重ねたところで数学の苦手意識は取れないし、数学がなんだか難しいものという実感はなくならないでしょう。
数学を理解するということ
数学がどうして算数よりも難しいのかということをわかった上で、どうすれば数学の苦手意識をなくすことができるかを考えてみます。
数学は算数を抽象化しているために、実感が持てないのが問題でした。
ならば対処法は当然、どうにかして実感が持てればいいのです。
抽象的に考える力を鍛えるという方法もあるのですが、これはそんな簡単にできることではありません。
ではどのようにして実感を持つのかといえば、文字や式に実際に値を代入して考えてみるのです。つまり具体化です。
例えば先程の買い物の例ですと、aやbに自分で勝手に決めた数字を当てはめるのです。a=30、b=50というように。
そうすれば合計が30+50とすぐに理解できるはずですので、aとbを足し合わせることに実感が持てるはずです。
1次関数のy=ax+bがよくわからない方ならば、aやbに数字を当てはめてそのグラフを書いてみましょう。
そうすれば傾きaが何を左右し、y切片のbが何を表しているかが自然とわかるはずです。そうすればグラフに対しても実感が持てるようになります。
1度でわからないければ2度、3度と何度も挑戦していくうちに見えてくるものもあります。
高校数学は中学数学を更に抽象化しているので、わからないものがあるときは中学数学まで具体化して考えてみましょう。

具体化して考えるということ
わからないものを放っておいてもわからないままです。
むしろ、数学は積み重ねの学問ですので、その後に習うもの全てがわからなくなってしまいます。
数学でよくわからないものがあった時は、具体化して考えてみる癖をつけましょう。
文字があればなにか数字を代入してみたり、関数ならばグラフに書いてみたりすれば、なんとなく実感が持てるようになるはずです。
どのように具体化するかというのも慣れるまで難しいかもしれませんが、何度も繰り返すことによってなんとなくわかってきます。
大事なのはわからないものをそのままにしておかないことです。
まとめ
具体化するという手法は数学が得意な人でもよく用いています。
特に、難しい問題などでは数字が一切なく文字しか与えられないことが多いので、具体化しないとわけがわかりません。
数学に苦手意識がある人はとにかく具体化して考える癖をつけましょう。
ちょっとでもモヤモヤを感じたのならば、どうして腑に落ちないんだろう?と自分を問い詰めてみてください。
結局、数学の勉強とは「理解し難いもの」を「どのように理解するか」なのですから。

XZ

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