白魔導士を馬鹿にするな!~「ライブダンジョン!」を読んで、評価・感想
ー「何が可笑しいのだっ。ここまでの屈辱を受けて、なにをそんなに笑っているのだ!」
旅行の幹事を任されてしまい、それに奔走する毎日です。更新が遅れてすみません。
1泊2日の旅行を企画するだけでもこれほど大変なものだとは思いませんでした。
さて、本日紹介するWeb小説は「ライブダンジョン!」。
読んでみればわかると思うのですが、今まで僕が紹介してきたものと少し異なります。
というのも、今まで紹介してきた作品と比較して、この作品はゲーム性がより強い作品です。
ゲームが好きな方は是非読んでみてほしい作品ということで紹介しました。
作品のあらまし、所感
ライブダンジョンという古いMMORPG。サービスが終了する前に五台のノートPCを駆使してクリアした京谷努は異世界へ誘われる。そして異世界でのダンジョン攻略をライブ中継で見た努は絶句した。戦略のせの字も無いゴリ押し。不遇のヒーラー職。ゲームでは白魔道士を愛用していた努は白魔道士の復権と、異世界脱出の鍵を求めダンジョン制覇を目指す。
あたすじがきれいにまとまってていいですよね。
長すぎず、短すぎず、物語の内容がすんなりと理解できる。こういうあらすじを読むだけでモチベーションが上がります。
さて、この作品は主人公がプレイしたゲームの世界に転移するところから話は始まります。
よくあるような話かと思われるかもしれませんが、この作品が特徴的なのは主人公最強モノではない点です。
あくまでも1プレイヤーとして異世界で活躍していくという点で、力によるごり押しではない物語を楽しむことができるのです。
また、主人公の主人公が白魔導士という、不遇職とみなされている職業で、その認識を変えていく様子もカタルシスがあります。
好き嫌いがありそうな文章ですが、ストーリー性及びゲーム性がそれを補って余りあるばかりに良かったので紹介しました。
するめのように、じわじわと面白くなってくる作品ですので、1話だけで判断せずに何話か読み進めれば面白さがわかってくると思います。
作品の特徴
あらましでも紹介した通り、本作の一番の特徴は主人公が1プレイヤーとして異世界に転移する点です。
一般的に、ゲームの世界に転移するとなれば、そのゲームで使用したキャラクターとなるのがよくあるテンプレです。
そしてその場合、そのキャラクターはゲーム内で最強であるため、主人公最強モノの作品となります。
困難、逆境も力でごり押し、ある意味いっそすがすがしいほどなのですが、そういった作品は物語に中身がなく、スッカスカなものが多い気がします。(もちろんすべてがそうだというわけではありません。)
そこで、本日紹介する作品の登場です。
主人公はそこら一般の人々と何ら変わりません。とある一般人として成り上がっていくわけです。
力でごり押しすることができず、そこには波乱万丈な物語が期待できるわけです。
実際、主人公には様々な困難が待ち受けています。それを一つずつ、主人公が強くなるとともに解決していく。
次はどんな困難があって、主人公はどのように対処するのだろうかとワクワクした気持ちにさせてくれます。
もう1点、この作品の特徴として紹介したいのはゲーム性の高さです。
小説なのにゲーム性とはこれいかに、と頭にはてなマークを思い浮かべた人もいると思いますが、簡単に説明すれば小説を読みながらゲームをしているかのような感覚になります。
というのも、作品で登場するゲームに関する設定や説明がとても詳しいため、それによって臨場感がとても高い。
このモンスターはこういった習性、特徴がある。ならそれを攻略するには、具体的にこうしてこうして…などと
ある程度ゲームをしたことがある方ならば、ほうほうと感嘆のため息をついてしまうほど。
かといって説明一辺倒とならないところがこの作品の良いところで、説明ばかりで飽きるということもありません。
物語パートの中に、絶妙に説明文が入るため、退屈することなく読み進めることができるわけです。
最後に、ぜひともアピールしておきたいのが戦闘場面です。
本作は戦闘場面が多いのですが、戦闘描写が素晴らしい。
小説によっては2,3行で敵を倒すような、もはや事後報告と何ら変わらないものもありますが、そういう作品はやはり読んでいてつまらない。
戦闘場面は作品の見せ場の一つであり、特にゲームがメインの小説ならばさらに大事。
その点、本作は戦闘場面が事細かに描写されており、モンスター及び登場人物たちの動きが事細かにわかります。
文章を読むだけで頭の中にその場面が浮かび、そしてアニメのように動き出す。
以下の文章は、ある戦闘場面の一部分を抜き出したものです。
大盾を片手にスキルを発動したガルムは一歩前に出て大盾を弾くように押し出す。そして地面を転がった一匹の草狼に鎧の擦れる音を鳴らしながら駆け寄ったガルムは、バーダントウルフをそのまま上から押し潰すように大盾を振り下ろす。草狼の悲惨な悲鳴の後には無色の魔石だけが残った。
仲間が殺されたことに激昂したように吠えた草狼の横からはカミーユの大剣が通り過ぎ、太い木にぶつかった草狼は全身の骨が砕け飛んだ。断罪するように縦へ振るわれた大剣でそれは魔石へと変わった。
そして、ゲーム性の高さと戦闘場面の描写のシナジーが、臨場感をさらに高めてくれます。
あとがき
ライブダンジョンを読んで、すごくゲームをしたくなりました。
おかげで、とても忙しいにもかかわらず、ゲームをやりすぎてしまい、いろいろなところに支障が出ている始末。
ただでさえ小説を読んで時間がないというのに、ゲームまでしてしまうと…
とにかく僕のことは置いておいて、本作はゲームが好きな方ならばぜひともお勧めしたい作品です。

XZ

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