夕焼けに溶ける人影…「Engage Chart (エンゲージ・チャート)」を読んで~評価、感想など
2015/11/25
ー「Web小説に文章力を求めますか?」
皆さん、小説読んでますか?僕は寝る前には必ず小説を読む時間を作っています。。
小説を読みたいけど何を読めばいいかわからない、もしくは面白い小説を探すのがめんどくさいという方のために、ここではおすすめの小説を紹介します。
今回紹介する小説は、硬派な世界観が売りの剣と魔法のファンタジーです。
なろうで一大ジャンルを築いている剣と魔法のファンタジーというありふれたジャンルでありながら、流行にのらずに個性的な作品に仕上げているのが本作の特徴です。
小説情報
あらすじ
そこは、魔獣や魔族といった存在が人間を脅かす世界。
両親を魔族によって失い、妹と共に故郷を焼け出された青年――――藍原理玖は、魔術師を育成し、傭兵とする傭兵養成学園”アルティア”に通っていた。魔術が使えない事から学園の日陰者となっていた彼は、しかしある日奇跡的に召喚獣を召喚する事に成功する。
現れたそれは黒衣を纏った、信じられないほど美しい少女で――――。
使い魔として彼女を従え、傭兵として名声を得ていく彼は、やがて神々を巡る戦いへと巻き込まれていく事となる。
あらすじを読んだら分かる通り、「少年と少女が出会った時ー物語は始まる」で有名なボーイ・ミーツ・ガール系の作品です。
ただ、巷に溢れてるような、主人公がなんの苦労もなしに少女と出会う話ではなく、主人公はそれ相応の苦労のの後、救われるように少女と出会うわけです。
少女と出会った少年はついに念願の傭兵となれるわけですが、物語はそこで終わるわけではありません。
実は出会った少女はわけありだったのです。当たり前ですね。
偶然美しい少女に会えるなんてご都合主義にもほどがあります。(そういったご都合主義が今ではありふれていますが・・・)
そこには何かしらの必然があってしかるべきです。そしてその謎は物語が進むに連れて明るみになっていきます。
文字数
文字数は50万文字ほどで、文庫本3冊弱になります。
ちょっと歯ごたえがある分量を読みたい方にはぴったりです。
本作のすごいところ
「Engage Chart (エンゲージ・チャート)」では、小説の基本要素がキチンと守られています。
語り手が文中で統一されていいることはもちろんのこと、説明文、情景描写も丁寧に行われています。
ただ、これらは普通の小説にとっては当然のことで、本作のすごいところは説明文、情景描写が非常にうまい点です。
例えばですが、以下の様な文が1章の終わりにあります。
「四つの人影は夕焼けの下、やがて平和な街並みへと溶けていった。」
人影が夕焼けに溶けるという表現は非常に頭に残るフレーズですよね。よく映画の終わりでもありそうな光景ですが、それをこれほどうまく言葉にできるというのはすごいです。そして事件が解決をしたことを表す平和という言葉を使うことで、章末の終わりを表現しているわけです。
このように、語彙力や表現力も非常に高いです。文章を読んでいると自然とその光景が頭のなかで再生されます。
また、物語の起承転結もしっかりとしており、ダラダラと話しが進んでいくということもありません。
まとめ
主人公最強ですが、そこに至るまでにそれ相応な困難を乗り越えていれば、納得して読み進められます。
ご都合主義で強い力を手に入れたりする作品では味わえないような、カタルシスを感じることができる。
それこそが小説を読む醍醐味ではないでしょうか。
Web小説の何よりもの利点は、無料ですぐに読むことができる点です。とりあえず読んでみてはいかがでしょうか。

XZ

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